大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)169 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人渡部一の上告理由第一点について。

所論甲第一号証の一一の記載が上告人の主張に有利であることは、所論のとおり

である。しかし原判決は、その挙示する証拠を綜合して、上告人に利益な証拠を参

酌しても、上告人主張の入金の事実を認定するに足るだけの心証を抱くに足りず、

訴訟にあらわれた限りの資料によつても真実預金がなされたものと認定するだけの

証明は不十分であると判示しているのであつて、その判示に所論のような違法はな

い。所論は、原審の自由な心証に委ねられた事実上の判断を非難するに帰し、採用

することができない。

同第二点及び第三点について。

原判決は、所論供述調書の記載は、原判決援用の他の証拠と対比して、真実であ

ることの心証をえないと判示した趣旨であつて、その心証をえない理由のごときは

必ずしも判文中に説示する必要はないのである。また原審の判断は、所論のように

経験則に反するものということはできない。されば、論旨は理由がない。

同第四点について。

記録によると、原審の最終口頭弁論期日(昭和二九年一〇月五日)に弁論が更新

され、右弁論に関与した裁判官によつて原判決がなされているのであるが、論旨は、

右期日前の同年一月二八日に裁判所の構成が変つたのに弁論を更新しないで、不出

頭の証人Dを次回に尋問する旨告げたことを非難するのである。しかし右期日にお

いては、新な証拠決定をしたものではないから違法と目すべきものでないばかりで

なく、原審は右証言を採用しなかつたのであるから、仮りに違法としても、その違

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法は判決主文に影響はないので、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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